経営管理ビザの改正と更新の「経過措置」を優しく解説
日本で会社を経営する外国人のみなさまにとって、在留資格(日本に滞在するための資格、ビザ)の更新はとても大切なイベントです。
2025年に経営管理ビザに関する法律の改正(ルールの変更)がありました。この変更により、「これまでのやり方でビザの更新ができるのだろうか」と不安を感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、改正前から日本で会社を経営している「既存の経営者(きぞんのけいえいしゃ)」のみなさまに向けて、更新のときに知っておくべき「経過措置(けいかそち=特別な準備期間)」について、やさしく解説します。
※この記事は2026年9月時点の運用に基づいています。最新の内容は当事務所にご確認ください。
経営管理ビザの新基準は「いつから」始まった?
経営管理ビザの新しい基準(新基準)は、2025年の法改正によって導入されました。
この法改正では、事業の規模に関する基準が大きく変わりました。具体的には、これまでの「資本金500万円以上」などの基準が見直され、「3,000万円以上の規模(3,000万円要件)」などの新しい条件が設けられることになりました。
新しい基準がスタートしたことにより、これから新しく日本で会社を設立して経営を始める人は、この厳しい新基準をクリアしなければなりません。
しかし、すでに日本で一生懸命に会社を経営している人に対しても、すぐにこの厳しい基準を当てはめてしまうと、多くの経営者が日本での事業を続けられなくなってしまいます。そのため、入管(出入国在留管理庁。ビザの審査をするお役所)は、特別なルールを設けました。それが「経過措置(けいかそち)」です。
改正前から在留する経営者のための「経過措置」とは?
経過措置とは、新しいルールに移行するまでに設けられた「猶予期間(ゆうよきかん=準備のための時間)」のことです。
経過措置の対象となる人
法改正が適用される前から、すでに「経営・管理」のビザを持って日本で会社を経営している外国人のみなさまが対象です。
経過措置の期間:2028年10月16日まで
既存の経営者のみなさまは、2028年10月16日までの間、改正前の古い基準(たとえば資本金500万円の基準など)でビザの更新申請をすることができます。急に新しい「3,000万円要件」などの厳しい条件を求められることはありません。
2028年10月17日以降の扱い
注意しなければならないのは、この経過措置には期限があるということです。2028年10月17日以降に更新申請を行う場合は、既存の経営者であっても、原則として新しい基準(3,000万円以上の規模など)を満たしている必要があります。
つまり、この約3年間の経過措置期間のあいだに、会社の規模を大きくしたり、新しい基準に合わせるための準備を整えたりする必要があるということです。
経過措置の期間中でも「更新が保証されるわけではない」点に注意
「経過措置の期間内だから、これまで通りに申請すれば絶対に更新できる」と考えてしまうのは危険です。ビザの更新は、自動的に認められるものではありません。
既存の古い基準で審査される期間であっても、以下のような点が見られます。
- 会社の経営状態
会社の決算が大幅な赤字になっていないか、事業の継続性(これからも会社を続けていける見込み)があるかどうかが審査されます。 - 法律を守っているか
税金や社会保険料を正しく納めているか、会社や経営者個人が法律を違反していないかなどが確認されます。 - 実際の経営活動
経営者が本当に日本で経営や管理の仕事をしっかりと行っているかどうかが問われます。
もし、経営状態が著しく悪い場合や、必要な書類を提出できない場合は、経過措置の期間中であってもビザが不許可(ダメになること)になる可能性があります。
万が一、不許可の通知が届いてしまった場合は、まずは入管に行って「不許可の理由」を正しく確認することが最優先です。その理由を解消したうえで、次の申請に向けて再申請の準備を整えることになります。なお、入管の不許可処分に対して法的に争う手続き(審査請求や裁判など)は、行政書士が代理することはできません。そのような争いが必要な場合は、弁護士へのご相談が必要になります。
まとめ:将来の更新に向けて今からできる準備を
2028年10月16日までは古い基準での更新が可能ですが、それ以降は既存の経営者であっても新しい基準に対応しなければなりません。これは、日本のビザ制度における非常に大きくて重要な変化です。
直前になって慌てないために、今から会社の売上を伸ばす計画を立てたり、資本金を増やす手続きを進めたりすることが大切になります。当事務所は司法書士の資格も持っているため、会社の資本金を増やす「増資の登記」や「会社設立登記」の手続きもまとめてサポートすることが可能です。
法改正後の更新について少しでも不安がある方や、これからのビザ更新に向けた計画を一緒に考えたい方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。
